台湾糖業虎尾糖廠(2015/03)

台湾糖業のナローゲージといえば、私にとっては、もっぱら本来の役目を終え観光施設化されたものという認識だった。しかし、台湾中部の雲林県に最後の”現役”製糖ナローが残っていると知り、居ても立ってもいられず2015年の3月に訪問した。

台湾糖業虎尾糖廠線は、かつては台鐡(国鉄)に接続していたそうだが、現在では台鐡の斗南駅などから路線バスに乗り換えて訪問することになる。サトウキビのシーズンである12月から3月にかけて運行しているが、毎年「今年が最後だろうか」とその存続が危ぶまれているそうだ。

工場からの線路はしばらく市街地を走る。タイミング良く空荷の貨車を連ねた列車が踏切を横切った。

ここ虎尾でのハイライトは、何と言っても高鐡(新幹線)との立体交差である。サトウキビ列車と新幹線との離合はなかなか運が良くないと見られないはずなのだが、この日は幸運の女神がやたら私に好意的だったようだ。

訪問時は2本の列車がサトウキビ畑と工場との間でピストン輸送をしていた。右側に伸びている線路はもう長らく使用されていないようだった。

ナローゲージはすっかり地元の景色に溶け込んでいる。この後、地元のナローゲージ・ファンと意気投合し、お宅に招かれたのちに夕食までご馳走になってしまった。

虎尾二日目、薄く朝靄がかかった街に一番列車の汽笛が谺する。不恰好な二灯信号がなんとも愛らしい。

門番に許可を得て、操車場の中に入らせてもらった。国鉄との連絡列車があった時代の名残で、構内には三線軌道が張り巡らされている。

操車場の建屋はこれまた随分渋い雰囲気である。左のレンガ建築はおそらく日本統治時代から残るものだが、残念ながら中は廃墟と化していた。

係員が「製品が来るよ」と教えてくれたので待っていると、砂糖の袋詰めを積んだ貨車がDIEMAに牽かれてきた。お茶目な入替作業員が機関車の上から手を振ってくれた。

市街地の真ん中に工場があり、その内外でナローゲージが活躍しているなんて、まるで夢のような光景である。2015年にもなって隣国台湾でこういった光景と巡り合えたのは僥倖としか言いようがない。

操車場の入り口あたりで折り返して、工場の別の棟へ貨車を押し込んでいく。一連の作業を見送ったのち、作業員に礼を言って操車場を後にした。短い時間だったが、幸運に恵まれた楽しい旅となった。

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