台湾糖業虎尾糖廠(2015/12)

台湾最後のサトウキビ列車が走る台湾糖業虎尾糖廠。前回訪問時に仲良くなった現地の方から「今年は12月17日に操業開始だよ」との連絡を頂き、それに合わせて台湾へ渡った。

当日の朝、宿泊地の嘉義から列車に乗り、斗南でバスに乗り換えて虎尾に到着する。朝の虎尾の、路肩が露店で埋め尽くされる活気が妙に懐かしく感じられた。

朝8時前、製糖工場の扉が開く。念のため作業員に列車が来るか尋ねると「今日から走るよ」と嬉しそうな様子で答えてくれた。

路線バスで9号積み込み場へ向かった。折しも、空荷の貨車を連ねた列車が到着したところだった。蜜蜂のような色遣いの可愛らしい車両だ。

サトウキビを満載したトラックが、次々に荷を貨車に落としていく。この日は風が強く、荷台から零れて空を舞うサトウキビが微かに甘い匂いを発していた。

操業初日ともあって、線路には雑草が茂り放題である。しかも除草剤でも撒いたのだろう、枯れて乾燥した雑草が靴の中に侵入してきて難儀だった。

踏切の旗振りも健在である。滞在中は彼ら彼女らから教えてもらう列車の運行情報が唯一の頼りだ。

12月、南国台湾と雖も日が傾き出すのは早い。柔らかい光線を浴びてサトウキビ畑を列車が駆け抜けていく。

10号積み込み場まで歩いてみた。この日の最終列車が通過していく。

夕日に照らされる赤錆びた貨車が哀愁を誘う。派手さなんてものはないけれども、その役目を終える最後の日まで、この小さな列車は黙々と働き続け人々の生活を裏から支えるのだろう。

サトウキビ畑の向こうに日が沈む。ざわわ…ざわわ…。

翌18日。この日は虎尾の友人と昨春以来の再会を果たした。彼の「製糖工場を見学してみるか」という提案に私は即座に飛びついた。願ってもない工場見学である。

普通は立ち入れない製糖工場だが、友人は所謂顔パスというやつらしく、記名も何もなしで入れてしまった。感謝感激である。折しも、運ばれてきたサトウキビを荷下ししている所だった。器用に貨車を傾けている。

一人で訪れていたらまず見られなかった光景なだけに、友人には感謝してもしきれない。友人と工場の方に丁重にお礼を言って工場を後にした。

この後は友人と昼食を済ませたのち、台北へ戻り飛行機で日本に帰った。虎尾には正味1日半という短い滞在ではあったが、友人をはじめとする多くの方のおかげで前回にも増して充実した訪問となった。

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